社長コラム

企業経営者として

Vol.38 2003年(平成15年)5月号

『智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は住みにくい。』
ご存知の夏目漱石「草枕」の冒頭の言葉です。「山路を登りながらこう考えた」そうですが、小説「草枕」を発表したのが明治39年のことです。漱石が同じ年代に生きている様な気さえします。人情を見事に現した名文は、時代を超えて心に響きます。

 会社でも団体でも、人が集まるところに大切な人の「和」と「個性」の調和を保つことは難しい。この難題をこともなくクリアーできる人が本当の「人格者」であり「人望」なのかと思う。
でも、戦争の原因となるような独裁者が誕生する社会がまだまだ続きます。
企業の中の独裁者はワンマン経営者として強力なリーダーシップによって大きな功績を挙げることもあります。この違いは何だろう。
悪い独裁者は、自分中心であり個人的な満足を国の予算や会社の資金で求めてしまう。とかく立派な宮殿や本社ビルを作ると心まで驕ってしまうのが人間の常です。
 経営者は株主から委託された業務執行者であることを常に念頭に置き、個人的欲望を抑えて、社会のため、株主のため、従業員のために持てる能力を発揮しなければなりません。結果的にその業績の評価は「自分で自分を褒めてやりたい」まで頑張れれば最高であります。
 今日も元気で目覚め力一杯活動できる喜びを感じながら、夏目漱石の「草枕」が浮かんでくるのが、未熟な人間の証拠である気がします。
経営の達人を目指しての努力が必要だ。自分自身に。